心理学的経営 個をあるがままに生かす
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学んだことなど
これまで 「組織活性化」 って深く考えずに言っていたけど、本書を読んで己の浅さを痛感した
活性化は静止状態の対極 → 安定した状態、静止している状態に不均衡と混乱をもたらす (不均衡創出) が活性化の基本
6 章に MBTI の概念の説明があり、理解しやすい 内容メモ
序章 心理学的経営とは
1 章 モティベーション・マネジメント
旧来は、人は仕事を忌避するものという考えで経営されていたが、それにアンチテーゼを提唱したのが X-Y 理論 X 理論を完全に否定して Y 理論で全てを説明できるというものでもない (どちらもあるので、あるがままを見る) 注目すべき動機づけ要因は 「新しい学習」
3 つのポイント
目標について
目標は具体的で明確であるほどエネルギーを方向付ける力になる
不可能に見える目標の提示は当人のやる気を削ぐようにも思えるが、イノベーションへの要望だとも捉えられる
フィードバックは重要 : 順調に進んでいるか? 遅れているか?
集団の目標は高い業績につながる
2 章 小集団と人間関係
大企業病という言葉があるが、大規模な組織ではメンバー同士の相互認知は難しい 小集団の原理を拠り所とした人間関係へのアプローチにも限界がある 仮面を付けたままの当たり障りのない態度、表面的な人間関係から何かが生まれるのか??
3 章 組織の活性化
環境の変化への適応 → 以前の環境に適応していた自己を破壊することから
nobuoka.icon 今でいうところのアンラーニングってやつだろうなー 変化に適応できるかどうかは、組織が自己変革しうるか否か → 「自己変革」 こそが組織活性化の本質的課題 人間は、秩序をつくる動物であると同時に、秩序を壊す動物でもある 無秩序から秩序化された状態に向かう際の外部環境に働きかける過程に、活性化された状態が見出される
活性化は、既存の構造としての秩序を破壊するところから始まる
現状の自己否定が組織に葛藤と緊張を引き起こし、組織の均衡状態を崩す ← カオス演出という活性化のための最初の戦略 表面の意識が秩序の層であり、無意識の層が無秩序の層 無秩序を外へ排出した自我が、高次の全体性としての自己に至る過程が個性化の過程 (あるいは自己実現の過程) 企業の環境適応の能力には限界があり、いったん均衡が形成されると、環境が変わったときの変革が困難
環境にあわせて自己変革するよりも、組織にあった環境を選択する
組織には自己変革の機構があり、少しの介入で変化しうるという説もある
環境変化が激しくなる中で、変化への適応を可能にする戦略として活性化が求められている
イノベーションにとっての強敵は既成概念や常識 → アンラーニングという心理的過程が重要 新たな人材を導入すること自体が不均衡創出の要因をもたらす
人事異動では、「あの人がいないと回らない」 と思われているような人を経営的により優先される場所に異動させることが特に意義深い → なんとかなるように自己組織化する
経営の目指すビジョンとの整合性と人材育成の観点からの自己申告制の活用があれば人事異動は有効な組織活性化策
それらがなければただの混乱 (脈絡のない人事異動の頻発は、長期的な構えで仕事に取り組む姿勢をメンバーから奪うだけ)
メンバーの抵抗や組織の混乱を承知で人事異動でカオスを演出するには、ビジョンと説得力を備えた強力なトップマネジメントのリーダーシップが前提
社内教育も、変化の激しい時代においては自己革新能力の向上に比重が置かれる (特にマネジャーに対して)
イベントについても、各部署からイベントのためのプロジェクトにメンバーを入れる際の人材奪い合いやスケジュール調整での混乱など
4 章 リーダーシップと管理能力
5 章 適性と人事
日本では、職務要件が明確にはなっていないことが多く、人物を中心に自社へのトータルな適合性が見られる 社員適性を考えるときの 3 側面
1. 職務の遂行者としてのみ捉えるのではなく、全人格的にとらえる
2. とはいえ企業人としての有用性を考えるので、全人格的に捉えるといっても人間的な価値そのものを評価の対象にするわけではない
3. 適性という概念は、個人の潜在的な可能性を意味するので、適性主義とはそもそも個人の才能としての個性の尊重
企業人としての適合性 (あるいは適格性) : 職務遂行能力 + 対人関係能力
2 つの次元 : 使用価値 (何ができるか) と存在価値 (どういう影響をかもしだすか)
従来は使用価値がもっぱら考慮されていたが、存在価値の観点も重要な意味を持ってきている
筆者が考える企業人適性の 3 側面 : 職務適応 (職務遂行能力)、職場適応 (対人関係能力)、自己適応
自己適応 → 個人の側に立ち、内的な価値基準や情緒的な適応、自己本来の価値の実現においてどの程度自らに適応しているか?
脱組織、脱管理などの個人が組織から自立する傾向の一方で、個人が積極的に組織にコミットし、組織と個人がより緊密になるという傾向
SPI のデータを参考に、タイプ別で採用をするという取り組みをしているところもある (パーソナリティの多様化)
6 章 個性化を求めて
MBTI の結果をもとに、最もよく納得できる自分本来のタイプ (ベストフィットタイプ) を探す ← 個性化を考える際の重要なひとつの手続き MBTI で優勢な心理的機能がわかるが、問題解決にはいずれも必要
問題解決のジグザグモデル
1. 感覚機能 : 解決すべき問題について事実やデータに基づいて状況を調べる
2. 直観機能 : 可能性に着目し、役立ちそうなあらゆる手段を探る
3. 論理機能 : どの解決策を採用するか判断する (合理的、論理的)
4. 感情機能 : 周囲や関係者にどのような影響を及ぼすか配慮し検討する
ユングは、自己実現という意味での個性化は人生後半の問題で、前半では世の中での成功が必要、と言っている が、現代では人生後半での問題に若いころから直面する